top of page
検索
  • niro1223

2022、5 個展「パラフィンの雲」

2022年、5月17日(火)から28日(土)まで、横浜のギャラリー・パリで個展「パラフィンの雲」を開催しました。宮沢賢治の「まなづるとダァリヤ」の中に「山々のパラフィンの雲が白く澱み、夜が明けました」という描写があります。賢治は「パラフィンの雲」とはっきり書くのですが、そう言われてもなんだか漠然としている気がします。私の近作の名状しがたい白い筆致に被らせました。


1,「東からの風」(117×81㎝)と「時雨」(73×61㎝)。今回の個展には、0号から150号まで大小合わせて36点の新作を展示しました。すべて「キャンバスに油彩」です。20代のころ、田中信太郎さんのアトリエに伺い自作を見てもらいました。流行っぽい感じの立体作品を持って行ったものだから、「しょうがねえなあ」と言いながら批評してくれました。シェイプドキャンバスや立体のコラージュなど、いろいろやりましたが、結局「四角のキャンバスに油彩」になりました。







2,「風に抗う」(41×41㎝)、「花片」(46×38㎝)。筆ではなく、ヘラのようなもので描いているので、どうしても絵の具の表面が平滑になります。乾いた平滑面に絵の具を載せると固着が悪く剥離しやすくなる気がします。よって最近は、0号でも150号でも乾かないうちに完成させることにしています(ウェット・オン・ウェット)。ゴッホみたいに描くことを目指していますが、なかなか難しいです。乾きが遅いと言われる油絵具も私にとっては乾くの速すぎ!





3、「紫雲」(23×16㎝)、「空とベール」(22×28㎝)。ほとんど無計画に描き初め、描きながら次の一手を考えます。時々の表情を捉えながら、全力で判断を下しているつもりです。何ができるかわからないけど、丁寧に育てます。予期せぬアクシデントによってその後の方向が左右されることもしばしば。同じように関わったつもりでも、着地点はそれぞれ違った場所です。子育てのようでもあるなあ。




4,「返照」46×38㎝、「陽を運ぶ」23×23㎝。比較的小さな作品と、100号以上の大きな作品では、違ったアプローチが必要だと思います。たぶんキャンバスの大きさが腕が届く範囲か、足で移動する必要があるか、といった身体性の問題なのでしょう。今回、小さな作品の可能性をいろいろ試してみました。中心の目を引く形も、背景のような場所も、等価であると考え、両方厚塗りで描いてみました。そうしたら、ふと頭に浮かんだのが、ピカソやブラックのキュビスムでした。そう思うのは作者だけかもしれませんが、笑。



5,「荒野に立つ」227×182㎝、展示風景。36点展示した中で、一番大きい作品。0号だろうが150号だろうが、絵の表面は1日で描いています。完成しなければ、全部削ぎ落とします。この150号、「今日もダメだったー」「今日もダメだったー」・・・が10回ぐらい続いて、祈るような気持ちで何とか完成。何のかんのデカいのは大変だぁ。右写真、ギャラリー床に西の陽がさしたところ。個展のタイトルは「パラフィンの雲」ですが、一番それっぽいのは、これかな?




6,「トリオ」53×53㎝、「西方へ」18×18㎝、「紫風」30×30㎝、「草野を渡る」66×66㎝、「湖上/橙」18×18㎝、「ベール/緑」18×18㎝、「帯状に・朱」18×18㎝、「上方に/セルリアン」18×18㎝。今回展示している作品は、縦位置、または正方形です。私の絵は風景画かもしれません。とは言え、横位置にすると、広がりの感じが強くなり、風景画に近づき過ぎるので、今は避けています。縦位置の無重力のような感じが好きです。また正方形だと、上にも下にも右にも左にも自由に移動できる気持ちになります。










7,「花の雲」91×71㎝、「雨後」117×91㎝、「雨後/夕」73×61㎝、「地表をよぎる」46×38㎝、「緑風」117×81㎝、「夕を渡る」91×71㎝、「残照を渡る」162×130㎝、「黄昏」41×24㎝、「ベール/紫」18×14㎝、「緑勢」18×14㎝、「フュージョン」23×16㎝、「空の窓」46×38㎝、「夜を渡る」22×28㎝。やや、語彙矛盾になりますが、偶然を意図したいと思います。それから、「自分の腕で描く」こと。















8,「留まる」46×38㎝、「デュエット」46×38㎝、「花」73×61㎝。グレイッシュな黄土の上に丸い白のタッチを置きましたが、うまくいかず、すぐに削ぎました。削いだ跡が残る上に再度、丸いタッチを置くと、たまたま薄い緑が混じりました。その間、2-~3分の出来事でした。今回の案内状に採用した「花」、自分の中では新しい発見だったと思います。

 マーク・ロスコは「絵画は奇跡を起こさなければならない/Pictures must be miraculous.」と言っていますが、制作のプロセスで稀に出会う自分を超えたイメージ、そいつを捕まえなければならないのだと思います。11月のコバヤシ画廊個展に向けて、始動しよう。











閲覧数:62回0件のコメント

Comments


bottom of page